セールスコピーライティング普及協会

4)セールス 長期的なファン獲得に繋がるきれいごと抜きの理念、ビジョン・ミッションの伝え方

4)セールス

理念、ビジョン・ミッションの伝え方

こんにちは。セールスコピーライティング普及協会、認定ライターの石井です。

起業家や経営者が商品・サービスを売る背景には、多くは理念やミッションのような熱い想いがあります。

自分の高い志や熱い想いを適切に伝えると長期的なファンとなるLTV(顧客生涯価値)の高い顧客との成約率が高くなります。

しかし、特にセールスの場面となると、理念、ビジョン・ミッションの伝え方を間違うと商品・サービスがまったく売れません。

なぜ、こんな両極端なことが起きるのか?

今回は「長期的なファン獲得に繋がるきれいごと抜きの理念、ビジョン・ミッションの伝え方」というテーマでお伝えします。

セミナーセールスなどプレゼンの際や、LPなどのライティングにも共通する話なので、最後までご覧ください。

最初から売り手の理念やミッションは聞きたくない

セールスの場面で顧客が知りたいこと

コピーライティングやプレゼンを含め、セールスの場面では、共通の原理原則があります。

それは、「顧客は自分の悩みを解決し、欲求を叶えることに興味がある」ということです。

よく「遠い国で起きている戦争より、自分の顔のニキビが気になるのが人間」と言われます。

実際にセールスの場面で、顧客の興味は以下のお悩み解決か欲求を叶えるかのどちらかで、それ以外はまったく興味がありません。

このような、自分事として捉えられることだけ関心を示し、他人事には耳を貸さないのです。

だから、どんなに自分の辛い過去を赤裸々に語り、涙ながらに商品・サービスに対する熱い想いを語っても、顧客は何も聞いていません。

せいぜい、「お願いだから買って~」と押し売りしている印象しか与えないので、むしろ逆効果です。

セールスの場面では、理念、ビジョン・ミッションなどの熱い想いよりも、まずは顧客が求めていることに応えることが重要です。

このあたりのことは、以下のコラムに詳しく紹介されているので、合わせてご覧ください。

【関連記事】売れないのは、あなたの「熱い想い」のせいかも知れません

 

理念やミッションのある人を応援したくなるのも事実

理念、ビジョン・ミッションの伝え方

しかし、顧客に理念やミッションなどの熱い想いをまったく語らなくていいかと言われれば、そんなことはありません。

よほど実績や権威性や唯一無二の専門性があれば話は別ですが、理念やミッションがないと、信頼されにくいためです。

人間が本来持っている欲求(GDTの法則)の1つに「お金をかけたくない」というものがありますが、そのなかには「だまされたくない」というものも含まれます。

何かしら理念、ビジョン・ミッションがなければ「何か魂胆があるのではないか?」と疑いを持ってしまいます。

つまり、誰も単に商品を売って金儲けしたいだけの人とは関わりたくないのです。

【関連記事】ターゲットの感情を揺さぶるGDTの法則を正しく使いこなそう

また、共感できるような理念やミッションがあれば、顧客は信用に加えて「応援したい」「一緒に関わりたい」という気持ちも湧いてきます。

冒頭でお伝えしたように、うまく伝えれば長期的にファンとなるLTV(顧客生涯価値)の高い顧客獲得と成約できます。

つまり、最初から熱い想いをひたすら語るのは逆効果ですが、どこかで理念、ビジョン・ミッションは伝えると効果的なこともあります。

 

理念、ビジョン・ミッションを伝えるには順番が大事

理念、ビジョン・ミッションは順番が大事

今までお伝えしたことをまとめると、理念、ビジョン・ミッションといった自分の熱い想いを語るのは、順番が大事ということです。

具体的には、以下の順番で商品・サービスのことを伝えることで、自分の想いに共感した長期的なお付き合いのできる顧客との成約に繋がります。

 

顧客の悩みを解決するか、欲求を叶える商品を提案する

実績や証拠を示しながら、商品開発のストーリーや理念、ビジョン・ミッションを伝える

 

少し詳しく解説します。

 

伝える順番の大原則「よしこいの法則」

セールスコピーライティングやプレゼンの構成を考えるうえの原理原則の1つに「よしこいの壁」があります。

「よしこいの壁」とは、人間の特性である「読まない」「信じない」「行動しない」「今すぐ行動しない」の壁を打破することで購入に繋がる法則です。

 

①「読まない」の壁:LPのファーストビューやプレゼンの前半で伝えるターゲットの悩みや欲求(問題提起)、衝撃の事実(常識破壊)、ベネフィット etc……

②「信じない」の壁:お客様の声、実績、Before After、推薦の声、信頼できるデータ、権威性、メディア掲載、具体的ノウハウやメカニズム、比較表、プロフィール、ヒーローズジャーニー(開発秘話) etc……

③「行動しない」の壁:価格、注文方法、申込ボタン周り、Q&A etc……

④「今すぐ行動しない」の壁:期間限定価格などの緊急性・限定性

 

よしこいの壁は、①⇒②⇒③⇒④の順番で展開します。小説や映画の起承転結と同様に、この順番を守ることが鉄則です。

では、理念やビジョン・ミッションはどこになるかというと「信じないの壁」になります。

少なくとも「読まないの壁」の段階では早すぎます。先ほどお伝えしたように、いきなり自分の熱い想いを伝えても、顧客には押し売りにしか聞こえません。

まずは、顧客の悩み解決や顧客の欲求に応えることが先です。

また、同じ「信じないの壁」でも、豊富な実績や強いお客様の声、強い権威性や、とっておきのノウハウがあれば、そちらを先に伝えましょう。

まずは、商品価値を正しく伝えることが重要なためです。

その次に理念、ビジョン・ミッションを伝えると、信用性に箔が付き、さらに自分の想いに共感した、LTVの高い顧客を多く集めることに繋がります。

【関連記事】“売れる”文章を書くための4ステップ

 

理念、ビジョン・ミッションを伝える箇所と注意点

では、理念、ビジョン・ミッションを伝える箇所がどこかというと、具体的には主にプロフィール、ヒーローズジャーニー(開発秘話)、さらにLPであれば追伸です。

プロフィールを例にすると、商品・サービスのターゲット顧客の一貫性の保ちながら、主に次のことを掲載します。

必要ならば開発秘話やヒーローズジャーニーもこの流れで記載し、実績や権威性、開発ストーリーや想いが詳しく伝わるように記載します。

基本的には、自分の長期的な夢や今後のビジョンを伝えることで問題ないのですが、商品・サービスとの一貫性には注意しましょう。

複数の商品・サービスを持っている方の場合、意外とプロフィールや開発秘話と商品にずれがある場合があります。

また、これまでの活動や経験や、大変だった過去も、ターゲット層が自分事と捉えられるかどうか考えるようにしてください。

あまり商品・サービスに関係のない話の場合は共感が得られません。

熱い想いや辛かった過去ほど、どんどん語りたくなることもありますが、場合によっては思い切って省くことも必要です。

例外的に熱い想いから話した方がいい場合もある

今回お伝えしたことは、あくまでセールスの場面なので、最初から理念やビジョン・ミッションからお伝えした方がいい場合があります。

例えば、寄付型クラウドファンディングのLPや求人広告など、セールスとはまた違う話になる場合です。

特に求人広告については、以下の記事で詳しくお伝えしています。スタッフを採用する際は参考にしてください。

【関連記事】求人広告のキャッチコピーは何を表現すれば良いのか?~集客と採用の違い~

 

【まとめ】熱い想いも伝える順番と一貫性が重要

以上、共感されて成約率を高めるきれいごと抜きの理念、ビジョン・ミッションの伝え方についてお伝えしました。

今回は、少し今までと違う異色の話をしましたが、意外と自分の想いを熱く語るあまり、顧客のニーズを忘れがちになることがあります。

理念、ビジョン・ミッションは伝える順番が適切であれば効果的ですが、そうでなければ逆効果になります。

最初は、商品・サービスのニーズを考え、価値を十分伝えることが重要です。

ただ単に売上・利益を追求するだけでなく、高い志を持って商品・サービスを販売しているのであれば、自分の想いを効果的に伝えて成約率を上げていきましょう。

今回は、セールスの流れのほんの一部分の話になりましたが、もっと具体的に商品・サービスの価値の伝え方を知りたい方は、こちらのページも確認してください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!


この記事を書いた人

セールスコピーライター/ブックライター石井 裕

魅力とウリを掘り起こす セールスポイント言語化マニア 新潟県出身。東北大学大学院工学研究科修士課程卒。原子力技術者として13年勤務。趣味で書き始めたブログからの収入が月額20万を越え、密かに夢に抱いていたライターとして起業。 ▶︎マニアックな好奇心と探究心から生まれる徹底した取材で、商品・サービスの隠れた魅力を言語化することを武器としている。求人サイトで応募数前年比4倍、チラシでは反応率0.1~0.3%が標準といわれるなか最大23%、LP&ステップメールで申込数過去最大など、モンスター級の成果をたたき出す。最近はブックライターとして書籍制作にも多数関わっており、重版出来の実績も多い。 ▶︎プライベートでもその能力をいかんなく発揮し、2009年『県境マニア』を出版。TBSの「ゴロウ・デラックス」「マツコの知らない世界」、テレビ東京「たけしのニッポンのミカタ!」などテレビ出演多数。

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