2)セールスコピーの書き方 求人広告のキャッチコピーは何を表現すれば良いのか?~集客と採用の違い~

こんにちは。セールスコピーライティング普及協会、認定ライターの石井です。
私はセールスコピーライティングの仕事をしているだけでなく、他にも様々な執筆の仕事をしています。
そのなかの1つで、よく依頼を頂くのが求人広告です。
求人広告といっても、求人サイト、自社採用サイト、自社HP内の採用ページ、採用パンフレット、社員インタビュー記事など様々です。
実は、セールスコピーライターの仕事をしていると、「採用サイトも手掛けてほしい」などと依頼されることは珍しくありません。
セールスコピーライティングのスキルがあれば、求人広告も十分対応できるはずです。
しかし、注意したいことは、セールスのためのキャッチコピーと求人のキャッチコピーは少し考え方が違うという点です。
そこで、今回はセールスコピーと求人広告の違いを中心に解説しながら、求人広告のキャッチコピーを考えるポイントについてお伝えします。
セールスコピーに比べると、求人広告のライティング技術の情報は少ないので、参考にしていただけると幸いです。
【この記事の対象】
- スタッフを雇用したい経営者
- 求人広告の仕事も獲得したいセールスコピーライター
【この記事で得られるポイント】
- 求人広告で理想の人材が集まるようになる
- 求人広告の重要なポイントがわかる
- セールスコピーと求人広告の共通点や違いがわかる
セールスコピーと求人広告の共通点と相違点とは?
簡単に言うと、セールスコピーと求人広告の違いとは、お客様を集めるか、スタッフを集めるかの違いでしかありません。
しかし、集客を目的としたセールスコピーライティングの考え方を、そのままスタッフ採用に応用できるかと言えば、それは違います。
集客と採用では、少しアプローチの方法が違うのです。
そこで、まずはセールスコピーとスタッフ採用の共通点と相違点についてお伝えします。
【共通点】ペルソナ像の明確化
セールスコピーでも求人広告でも共通していることは、ペルソナ像を明確化するという点です。
セールスコピーであれば、理想とするお客様、求人広告では来てほしい社員像を明確にすることです。
理想とするお客様集めるためのペルソナ像の明確化については、こちらの記事をご覧ください。
【関連記事】理想とする顧客を呼び寄せる方法
大雑把な表現ではありますが、基本的にはこの記事で書いてあることを、採用したい社員に当てはめて考えてみると良いでしょう。
例えば……
- 新規採用なのか? 中途採用なのか?
- 中途採用なら、どのポジションの人材を採用したいのか?(課長クラス等)
- 男性社員か? 女性社員か?
- 何歳くらいの社員を採用したいのか?
- 長く働いてくれる社員が良いのか? 独立志向が強い社員が良いのか?
- どんな資格、職業経験、技能がある人を採用したいのか?
- どんな性格、考え方、価値観を持つ人を採用したいのか?(できれば、明るい、前向きなどではなく、もっと具体的に)
- どんな長所を持っている人を採用したいのか?
- 逆にどんな短所なら許容できるか?(「こんな人でも大丈夫!」等)
- 現在働いている社員で「こんな人に来てほしい」という人は誰か?
- 逆に辞めた社員で「こんな人には向いていない」という人は誰か?
- 社員は働くことでどんな経験、スキルを得られるのか?
業種や給与体系(固定給、フルコミッション等)によって違いはあるでしょうが、だいたい上記のことを書きだすと、理想の人材が見えてきます。
社員を採用できないことより、採用してすぐに辞められたり、職場の雰囲気が悪くなったりする方が痛いので、理想の人材像は明確にしましょう。
【相違点】セールスコピーは熱い想いは最後に言うが、求人広告では最初に言う
セールスコピーライティングでも、理念やビジョンを語ることは重要ですが、最初から熱い想いを語ってはいけません。
よく「高尚なことは最後に言う」と言われます。
基本的に広告を見たとき、見込み客がまず知りたいのは、「自分がどういう結果が得られるのか?」というベネフィットです。
販売側の熱い想いを語るのはベネフィットを伝えてからで良いのです(具体的にはプロフィール、ヒーローズジャーニー、追伸等)。
しかし、求人広告となると、考え方は基本的には逆です。
一見するとプロダクトアウトに思えるかもしれませんが、最初の段階で理念やビジョン・ミッションなど熱い想いを語った方が良いです。
採用LPであれば、ヘッダー直下、ボディコピーの最初の方で社長メッセージをいきなり載せて良いくらいです。
なぜかというと、会社の経営理念やビジョン・ミッションに共感できる社員は、戦力として長く働いてくれる可能性が高いからです。
これは新規採用でも中途採用でも変わりません。
逆に、理念やビジョン・ミッションに共感できない社員を採用してしまうと、
- 早ければ2~3ヶ月で辞める
- 戦力として育たない
- 労使間トラブルを起こす可能性がある
- 職場の雰囲気が悪くなる
と、デメリットになる可能性が高く、他の社員の退職まで誘発したり、業務の生産性を落としたりすることになります。
業務委託ではなく、正社員やパート、アルバイト採用の場合、一度採用すると労働関係の法律で簡単に解雇できないので注意してください。
ある意味、集客よりも採用の方が、経営理念やビジョン・ミッション、会社の方向性が重要視されると言って良いでしょう。
求人広告で求職者に伝える順番とキャッチコピーの考え方
求人広告では、早めに熱い想いを伝えた方が良いので、例えば採用LPの場合は、次の順番(優先度)で求職者に伝えると良いでしょう。
①会社の理念、ビジョン・ミッション、会社の方向性(社長メッセージ等)
②求める人材像(「こんな人はぜひ一緒に働きましょう!」等)
③働くことで得られる経験・スキル
④会社の魅力(人間関係、社員インタビュー等)
⑤業務内容、募集する職種内容
⑥給与、福利厚生
特に求人広告で重要なことが①②③で、求職者が求人広告を見た瞬間、①②③が伝わるキャッチコピーを作りましょう。
⑥給与、福利厚生については、たしかに求職者に訴求しやすいところですし、ないがしろにしてはいけません。
しかし、給与や福利厚生に惹かれて入社した社員は、働いて不満を感じた時点で退職する可能性が高くなります。
「うちはライバル会社より給料良いと思うよ」と思っても、給与や福利厚生は最後の方で伝えましょう。
ただ、これは全業種にあてはまるわけでなく、例えばフルコミッション制としている会社であれば、報酬を先にPRした方が良い場合があります。
社員インタビューでは何を聞くか?
社員インタビューは、セールスコピーで言うところのお客様の声に該当する部分です。
ただ、社員インタビューについても、セールスコピーのお客様の声とインタビュー内容が違います。
業種によって若干変えることはありますが、基本的には以下のようなことをヒアリングすることが多いです。
- お名前、担当業務内容、入社何年目か?
- 女性社員であれば結婚しているか? 産休・育休を経たりはしているか?
- 入社のきっかけと、入社後のギャップ(入社前に不安に思っていたことが実は違った等)
- この会社に入ってどんな経験やスキルを得られたと思うか?
- 会社や仕事の魅力は?
- 仕事やコミュニケーションで心がけていること
- これまでの仕事で印象に残ったエピソードは?
- 今の仕事の夢や目標
- どんな人に入社してもらいたいか?
- 会社の1日のサイクルは?(たまに社員の1日を紹介するようなこともあります)
ヒアリングの型として知っておいてほしいところではありますが、あくまで一例です。
会社の理念や方向性、求める人材像、得られる経験・スキルによって柔軟に対応していきましょう。
【まとめ】求人広告も何をどの順番で伝えるかが大事
以上、求人広告のキャッチコピーのポイントについてお伝えしました。
①セールスコピーも求人広告もペルソナ像の明確化が必須
②セールスコピーでは熱い想いは最後に言うが、求人広告では最初に言う
③求人広告のキャッチコピーで伝えるべきことは理念・ビジョン・ミッション、求める人材像、働くことで得られる経験・スキル
④給与、福利厚生の優先度は基本的には高くない
⑤①~④を踏まえて社員インタビューを行う
理想の人材像を明確にしながらも、セールスコピーと求人広告の相違点を認識して、求人広告の制作に取り組んでいきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
この記事を書いた人
セールスコピーライター/ブックライター石井 裕
魅力とウリを掘り起こす セールスポイント言語化マニア 新潟県出身。東北大学大学院工学研究科修士課程卒。原子力技術者として13年勤務。趣味で書き始めたブログからの収入が月額20万を越え、密かに夢に抱いていたライターとして起業。 ▶︎マニアックな好奇心と探究心から生まれる徹底した取材で、商品・サービスの隠れた魅力を言語化することを武器としている。求人サイトで応募数前年比4倍、チラシでは反応率0.1~0.3%が標準といわれるなか最大23%、LP&ステップメールで申込数過去最大など、モンスター級の成果をたたき出す。最近はブックライターとして書籍制作にも多数関わっており、重版出来の実績も多い。 ▶︎プライベートでもその能力をいかんなく発揮し、2009年『県境マニア』を出版。TBSの「ゴロウ・デラックス」「マツコの知らない世界」、テレビ東京「たけしのニッポンのミカタ!」などテレビ出演多数。

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