2)セールスコピーの書き方 「ノウハウは出し惜しみなく無料で公開しろ」の落とし穴

こんにちは。セールスコピーライティング普及協会、認定ライターの石井です。
よくブログやメルマガなどで情報発信するとき、「自分のノウハウは出し惜しみせずに全部公開しろ」と言われます。
しかし個人的には、この「ノウハウは出し惜しみしない」は「半分正解で半分間違い」くらいに考えています。
基本的にはノウハウは出し惜しみなく公開することには賛成なのですが、気を付けないと逆効果になることがあるためです。
「ノウハウを出し惜しみなく公開しているはずなのに……」という方は、ぜひ参考にしていただくと幸いです。
目次
有料級のノウハウを無料公開した方が良い2つの理由
日々のブログやメルマガ、YouTube、SNSで情報発信をしてノウハウを公開している方は多いでしょう。
またプロダクトローンチなどでは、ステップメールや動画などでノウハウを提供して教育するのは常套手段です。
なぜ、ノウハウを無料公開することが効果的なのでしょうか?
よく聞く話かもしれませんが、簡単におさらいしましょう。
見込み客が興味を持ってくれる
ノウハウを無料公開することで、見込み客は、次のステップであなたの商品・サービスに申し込みをします。
- 見込み客があなたを信頼して興味を持つようになる
- 見込み客がノウハウをもっと知りたくなる
- 見込み客があなたに教えてもらいたくなる
また、この時点で見込み客は大きな気付きを得られることで、「とても良いことを教えてもらった」と感謝の気持ちを持っています。
だから問い合わせた時点で、見込み客のあなたに対する好感度は高くなっていることが多いです。
無料で公開したところで1人ではできない
「無料で公開しても見込み客は一人ではできないし、ライバルは真似できない」
よく言われることですが、たしかに有料級のノウハウを提供したところで、実際に活用できるわけではありません。
これは、あくまで提供しているのはノウハウであって、スキルではないためです。
「知る」と「できる」の違いと言っても良いでしょう。
あくまでも情報発信で提供できるのは知識であって、情報発信だけでは知識が使えるように個々に落とし込むことはできません。
ノウハウを自分自身で使えるようになって、ようやく活用できるのです。
日々の情報発信やステップメールの教育では、この壁を超えることはできないので、決して真似されることはありません。
だから、ノウハウを無料提供しても問題ないのです。
以上のことから、基本的には「ノウハウは出し惜しみなく無料で公開しろ」というのは正解です。
有料級のノウハウを無料公開して逆効果になる2つの理由
ノウハウを無料公開した方が良い理由は、
- 見込み客が興味を持ち、自分もスキルを身に付けたいと思う
- ノウハウを公開しても自分一人ではできない
ということをお伝えしましたが、逆にこの点を満たさなければ、ノウハウを無料公開する効果がないということになります。
むしろ、
- 「自分にはできない」と思わせてしまう
- 「自分でできる」と思わせてしまう
と思わせてしまえば、ノウハウを無料公開することは逆効果になってしまい、成約率を下げてしまいかねません。
「自分にはできない」と思わせてしまう
有料級のノウハウをどんどん公開しようと、一生懸命情報発信しているのに全然問い合わせや申し込みがない。
この場合、一度立ち止まって考えてほしいのが、「見込み客のレベル感」です。
「難しい」
「自分にはできない」
「めんどくさい」
このように思われていないでしょうか? 初心者の方に上級者向きのテクニックを教えるようなことをしていないでしょうか?
「そうは言っても、これを知らなければどうしようもない」
「このノウハウで自分のクライアントはみんな成果を出してきた」
というのもあるでしょう。しかし、そのノウハウがあなたのコンテンツをほとんど知らない見込み客が見たときにどう感じるでしょうか?
すでに手厚いサポートでスキルを蓄積してきたクライアントと、ノウハウすら知らない見込み客では知識量が全然違います。
レベル感の違う人に、バックエンド商品のノウハウをそのまま提供しても、「めんどくさそう」と思われることが多いです。
例えれば、分数の計算すら習っていない小学生に、大学の理系学部で習う微分方程式やベクトル解析を教えるようなものです。
思い当たる方は、日々の情報発信などで次のようなことがないかチェックすると良いでしょう。
専門用語が多すぎないか?
内容が濃く、価値ある情報ほど専門用語も多くなりがちです。
どれだけ見込み客に教育してきたかにもよりますが、知らない用語が出た瞬間、基本的に人間は拒絶反応を覚えます。
使わなくて良い専門用語は極力使わなくても理解できるようにしましょう。(専門用語を使うとしても、「要はこれ」と簡単に理解できるようにするのがベストです)
小学4年生でもわかる内容か?
専門用語もそうですが、なるべくノウハウが何もない人でも大きな気付きを得られるよう、わかりやすくノウハウは伝えましょう。
よく「小学4年生にもわかるように」と言われますが、詳細はこの記事をご覧ください。
【関連記事】わかっちゃった!理解が深まる、伝わる文章の極意とは?
見込み客にとって負担に感じる情報量ではないか?
「一生懸命説明しよう!」と思うあまり、情報量が多すぎて読み手(見る人)が負担になる情報量となっていないでしょうか?
「うわ、長い!めんどくさい!」
なんてことになってしまってはもったいないです。一例として、メルマガやステップメール、動画の長さの目安は以下の通りです。(目的やターゲットによって変わります)
- メルマガ:1通1,200~1,500文字程度(ヘッダーや追伸、フッターを除く)
- ステップメール:1通1,200~1,500文字程度(ヘッダーや追伸、フッターを除く)
- 動画:1話5~10分
あれもこれもとノウハウを詰め込んでいないか?
ワンターゲット・ワンメッセージと言われるように、基本は1通のメルマガ、1本の動画ではメッセージは1個が原則です。
あれもこれも言いたいことを書いてしまうと、「何が良いたいの?」と見込み客は混乱し、結局何も気付きを与えられないので注意しましょう。
必要以上に漢字が多くなっていないか?
ブログやメルマガでは、そもそも漢字が多いと、とても読みにくい文章になってしまいます。
それだけでなく、必要以上に漢字が多い文章は、どこか「わかりやすく価値を提供しよう」という目的を果たしていないことが多いです。
「一生懸命説明しよう」とした結果、難解な挙げ句「何が言いたいの?」という文章になってしまっています。
やたら漢字が多いと感じたら、「もっと簡単な言葉で伝えられないか?」「このノウハウは理解できるか?」を振り返ってみましょう。
「自分でできる」と思わせてしまう
ノウハウを提供して「自分にはできない」と思わせてはだめですが、「自分1人でできる」と思わせるのもNGです。
つまり、メルマガや動画で提供した情報で「満足されてしまう」という状態。
「教えてもらえばできる!」
「1人でできる!」
この2つは全然違います。
先に書いたように「ノウハウ(知る)」と「スキル(できる)」は大違いですから、ノウハウを提供して「自分でできる」ことはレアケースです。
実際に無料公開のノウハウで「自分でやってみます」と言って、できるようになった人はほとんどいません。
つまり、「自分でできる」と思わせることは、成約を逃してしまったあなたも不幸ですし、「自分でできる」と勘違いした見込み客も不幸です。
このようなことにならないようにするには、次のことに気を配ると良いでしょう。
「やり方」「手順」だけを教えていないか?
無料のノウハウを知ることによる見込み客の大きなメリットは、今までになかった大きな気付きを得ることです。
「なるほど、こうすれば良かったのか!」
「そうそう、こういうことを知りたかったんだ!」
と思わせればしめたもの。見込み客はもっとあなたのことを知りたくなります。
そうなっていない場合、メルマガや動画で書いてあることが、単なる「やり方」「手順」になっているだけのことがあります。
何か大きな気付きを得られなければ、その場で得たい情報を得られたことに満足し、「じゃあ自分でやってみよう」と思って終わりです。
そして、自分でやってみて挫折したときには、すでにあなたのことは忘れているか、悪い印象を持ってしまうかのどちらかです。
ただやり方や手順を教えるではなく、伝えたいメッセージが明確になっていないと、見込み客は気付きを得られません。
見込み客が得られる未来を提供できているか?
見込み客に大きな気付きを得てもらうことは大切なことですが、そのためには見込み客が得られる未来を提供するのも1つの方法です。
提供したノウハウを実行したことで、どのような結果を得られたか、お客様の声や事例、インタビューを紹介すると良いでしょう。
「独学で難しい」ことを伝えているか?
見込み客に大きな気付きを与えられることは重要ですが、それでも「自分でやってみよう」と考える人がいます。
そのため、「独学では難しい」ということを伝えながら、バックエンド商品への伏線を張っていくと良いでしょう。
「ご自身で落とし込めるまでサポートしていきます」
「自分に合う方法を提案していきます」
「実際に添削するなどアドバイスしています」
「間違っていたら、軌道修正できるようにアドバイスします」
このように伝えていくことで、「教えてもらえばできるようになる!」という確信を持ってもらいましょう。
【まとめ】価値を提供して「教えてもらえば絶対できる」が伝わるように
以上、ノウハウを出し惜しみなく無料公開して逆効果になる理由についてお伝えしました。
重要なことは見込み客が価値を感じられること、今までに知りえなかった気付きを与えられることです。
「ノウハウを出し惜しみなく無料公開しろ」と言っても、ただノウハウを提供するだけの話ではありません。
「誰に何を伝えるか」を明確にしながら、ノウハウを提供するようにしましょう。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
この記事を書いた人
セールスコピーライター/ブックライター石井 裕
魅力とウリを掘り起こす セールスポイント言語化マニア 新潟県出身。東北大学大学院工学研究科修士課程卒。原子力技術者として13年勤務。趣味で書き始めたブログからの収入が月額20万を越え、密かに夢に抱いていたライターとして起業。 ▶︎マニアックな好奇心と探究心から生まれる徹底した取材で、商品・サービスの隠れた魅力を言語化することを武器としている。求人サイトで応募数前年比4倍、チラシでは反応率0.1~0.3%が標準といわれるなか最大23%、LP&ステップメールで申込数過去最大など、モンスター級の成果をたたき出す。最近はブックライターとして書籍制作にも多数関わっており、重版出来の実績も多い。 ▶︎プライベートでもその能力をいかんなく発揮し、2009年『県境マニア』を出版。TBSの「ゴロウ・デラックス」「マツコの知らない世界」、テレビ東京「たけしのニッポンのミカタ!」などテレビ出演多数。
